文法

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なぜ真面目に学んでいるのに、語順が身につかないのか

語順という感覚「語順が感じられない子」は努力不足ではない真面目で、宿題もやり、多読もしている。それでも語順が“ピンとこない”のは、英語の入力(input)を「意味のかたまり」として処理できていないからです。→ つまり、彼らの脳内ではsay / to / your / mom / helloのように「単語の羅列」として処理されており、 のような「chunk単位」での処理が起きていません。「a」「the」が抜けるのは“チャンク処理ができていない”証拠a sunny day → sunny dayのように冠詞を落とすのは、その学習者の脳が「a sunny day」というひとかたまりをまだ認識していないためです。心理言語学的には、これは「formulaic sequence(定型句)」が形成されていない状態。母語話者は “a sunny day” を一語のように処理していますが、学習者は “a / sunny / day” と3つの単語として処理している。その結果、無意識に “a” を捨ててしまうんです。これは冠詞の理解ではなく、視覚・音の処理の単位の違いです。「on a sunny day ...
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英語の語順(word order)を「感じられない子」へ

「視覚的チャンク認識」というアプローチ毎月10万語の多読をしても、音読を何百回しても、「say to your mom hello」と言ってしまう子がいます。文法はわかっているのに、感覚で語順をつかめない。それは才能の問題ではなく、脳の情報処理のタイプの違いです。そのような子にこそ必要なのが、視覚的チャンク認識(Visual Chunk Recognition)という考え方です。視覚的チャンク認識とは視覚的チャンク認識とは、英語を単語の並びではなく、「意味のかたまり(チャンク)」として視覚的にとらえる力のことです。たとえば:say hello to your mom自然に英語を読む人の頭の中では、 というふうに2つのチャンクで処理されています。でも、語順が苦手な子には、say / to / your / mom / helloのように、単語がバラバラに見えています。視覚的チャンク認識とは、この「どこで区切るか」を目で見て理解できるようにする力です。なぜ苦手な子がいるのか文法中心・分析型の学習に慣れている音韻ワーキングメモリが弱く、語順を保持できない意味理解に注意が向きすぎて、形を意識で...
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英語の文法を「使える」形で定着させるレッスン

英語の文法を「使える」形で定着させるワークシートを作りました🩵 Step 1:単語(語彙インプット)目的:文を読む準備を整える。活動例:「sweep」「wipe」「fold」などの動詞カードやジェスチャー練習“Show me: sweep the floor!” のように体で覚える音・意味・動作が結びつくので、文法に入ったときの理解が速くなります。🩷 Step 2:精読(構造インプット)目的:文の構造・意味・語順を意識して理解する。活動例:“I sweep the floor.” を語区切りで読む(精読プリントの活用)文法の「型」(S+V+O)を色分け・指差しなどで確認「意味のかたまり」をつかむ感覚が育ちます。My Chore1の音読はこちら(音読さんより)My Chore2の音声はこちら(音読さんより)会話文なので、この音源のように無味乾燥にならないようにしましょう(笑)💛 Step 3:音読(自動化)目的:構造を体で覚え、瞬時に再現できるようにする。活動例:リピート音読 → ペア音読 → リズム音読(チャンツ風)“I sweep the floor / I wipe the tab...
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文法は「形」だけじゃない!——どうすれば使える知識になるのか?

多くの生徒を見てきて感じるのは、「文法を理解できない子は一定数いる」ということです。また「理解はできるけれど、いざ使うときに使えない」という子も少なくありません。しかも、それは難しい文法ではありません。中学1年生で学ぶごく基本的な文法でつまずいているケースが目立つのです。たとえば——be動詞と一般動詞を同時に使ってしまう否定文や疑問文のときに、どちらを使えばいいか分からなくなるこうした「基礎のつまずき」が、その後の英語学習に大きな影響を与えていきます。文法は「形」だけではないなぜ、こんなにシンプルな文法でも正しく使えない子が多いのでしょうか。それは、文法を「形のルール」とだけ捉えてしまっているからです。応用言語学者のMarianne Celce-MurciaとDiane Larsen-Freemanは、文法を次の3つの側面で捉えることを提唱しています。Form(形)… 文法のルールそのもの。Meaning(意味)… その文が伝えている内容。Use(使用)… 実際の文脈でどう使われるか。この3つがそろって初めて、文法は「使える知識」になります。文法は Form・Meaning・Use の...
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【「as 形容詞 as」「as 副詞 as」と丸暗記してないですか?】

「as 形容詞 as」「as 副詞 as」と丸暗記してない?英語を教えていると、中学生がよく 「原級比較=as 形容詞 as」や「as 副詞 as」」 と丸暗記しているのを見かけます。でも、この覚え方は便利な反面、実際の使い方に弱く、文が長くなると途端に混乱してしまうんです。今回は「as〜as」の仕組みと正しい理解の仕方、そしてよくある誤解を例文と一緒に整理してみます。as〜as の正体は?まず大事なのは、最初と最後の as の品詞が違うということ。最初の as → 副詞(so, very と同じ働き。「とても〜」の意味を加える)最後の as → 接続詞(文と文をくっつける役割)つまり本来はこういう仕組みです。例文で分解してみるShe is good at soccer.(彼女はサッカーが得意です)1. 強調してみるShe is so good at soccer.2. as で文をつなぐShe is so good at soccer as I am good at soccer.3. 同じ部分を省略She is so good at soccer as I am.4. so を a...
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ややこしい語順を楽しく理解する英語まんがを出版しました!

だんだん文が長くなる英語まんが入門小学生や中学1年生を見ていると、英語の文が長くなったときに、語順がごちゃごちゃになってしまう子が多いと感じます。「単語は知っているのに、どう並べればいいかわからない」「短い文は読めても、少し長くなると意味がつかめない」そんな経験をしたことがある子も多いのではないでしょうか。実際、英検5級や中1レベルでつまずく原因のひとつは、この語順と文の構造があいまいなまま進んでしまうことにあります。語順が分からないと、読むのも書くのも難しく感じてしまい、結果的に英語への苦手意識が強くなってしまうのです。本を作った理由私は普段から子どもたちに英語を教える中で、文をどうやって長くすればいいのか分からなくなって並び替え問題を作ってしまうような子😅が多少なりともいるなと感じていました。そこで、少しでもわかりやすく、楽しく語順を身につけられるようにと考えて作ったのが、今回の本です。【英検5級&中1対応】だんだん文が長くなる英語まんが入門英語初心者・小学生も安心!イラストで英文法と語順のしくみが自然にわかる【解説つき】だんだん長くなる文の例本の中では、このように「短い文に少しず...
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「知ることが出来る」は「I can know many things.?」

「I can know」は正しい?学習者が迷いやすい英語表現よく見る生徒の英作文こんな文を書いたことはありませんか?I can know a lot of things such as math, science, and English.一見正しそうですが、実は不自然に聞こえます。なぜ不自然?ポイントはknow という動詞の性質にあります。know は「すでに知っている状態」を表す 状態動詞can は「できる/能力がある」を表す助動詞 「知ることができる」という表現はふつう英語では言わないのです。例:⭕️ I know English.(私は英語を知っている)❌ I can know English.(私は英語を知ることができる)→ 不自然正しい言い方多くの場合、学習者が言いたいのは「学ぶことができる」や「習得できる」という意味です。このときは learn を使います。I can learn a lot of things such as math, science, and English. (数学や理科、英語など、いろんなことを学ぶことができます)「I can know」が使える...
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英語でよくまちがえる! every day と everyday

間違いやすい単語生徒のライティングを添削していると間違いのトップに来るほど間違えやすいもののひとつがeveryday (2語)とeveryday(1語)です。「毎日」と言いたいとき、ついeverydayと書いてしまって❌になることはありませんか。なぜ間違える?実は、これにはちゃんと理由があります。発音が同じだから どちらも /ˈev.ri.deɪ/ と読むので、聞いただけでは区別できません。日本語の影響 日本語では「毎日」が1つの単語なので、英語も同じだと思ってしまうんです。単語のほうが覚えやすいから 「everyday」の方が見た目がスッキリしているので、つい使いたくなります。だからたくさんの中高生が同じミスをするんですね。どうやって覚える?ここがポイントです。every day (2語)= 毎日(「いつ?」に答える)→ I go to schoolevery day.everyday (1語)= ふだんの(「どんな?」に答える)→This is myeveryday bag.日本語でいうと、→毎日(時間のこと) vsふだんの(ものの説明)このイメージで区別するとわかりやすいです。そ...
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文法が定着しない子どもたちへ ― 問題は「理解力」ではなく「学ぶ姿勢」

文法が微妙文法が苦手な生徒は、昔から今も、そしてきっとこれからも存在します。興味深いのは、そうした生徒の多くが「真面目で、英語が得意」と思われていることです。リスニングや語彙力が高く、テストでもある程度の点数が取れてしまう。英語を話すこともできる。だから周囲からは「英語ができる子」と見なされがちです。けれど、いざ文章を書かせたり、英語で話してもらうと、文法力の弱さがあらわになります。そして「超」高得点にはなかなか届かない。細かいミスを自覚しないまま、少しずつ失点しているからです。私はこの現象に長年悩んできました。「多読のせいなのか?」と考えたこともありますが、それは違いました。外部から来た塾通いの生徒たちも同様に、文法が崩れている。むしろ、多読をしていない生徒の方がさらに厳しい状況でした。そしてようやく得た結論があります。それは——「流してしまう意識」が原因だったのです。「文法は後回し」という癖英語が得意と自他共に思っているけど、実は文法が苦手な生徒の多くには、「文法を後回しにする」癖がついています。それでもある程度点が取れるため、間違ったまま定着してしまうのです。そして多くの場合、彼...
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「自然に覚える」だけでは文法は身につかない

〜多読・リスニング・スピーキングだけでは不十分な理由〜今日、アメリカ在住のリスニング指導の先生と話をする機会がありました。その中で改めて確信したことがあります。それは、「文法は自然に習得できない」という事実です。英語圏でも、日本と同じです。子どもたちは、ただ聞いて話しているだけで文法を完璧に身につけるわけではありません。学校で何度も「書く」機会を与えられ、テストで間違いを指摘され先生や周りの人から訂正され発表やエッセイで自分の表現をブラッシュアップしていくこうした「フィードバックを受ける過程」を何度も繰り返す中で、文法が自然と自分のものになっていくのです。日本語でも同じですよね。私たちは「これは上二段活用だ」などと意識して日本語を使っているわけではありません。しかし、小学校の作文や漢字テストなどで何度も書き直し、フィードバックを受ける中で自然と「正しい形」に整えられていきます。つまり、自然に使うだけでは不十分で、意図的な訂正と書き直しの経験が不可欠なのです。「自然に覚えた」人ほど陥りやすい文法の弱点最近、特に感じるのは、多読やリスニング中心で英語に親しんできた学習者ほど、独特の文法ミス...