ALSCとYALSAとは?
(アメリカ図書館協会における児童・青少年サービス部門の解説)
アメリカ図書館協会(ALA)の中の専門部門
ALA(American Library Association/アメリカ図書館協会)は世界最大の図書館関連組織で、図書館サービスの発展と読書推進を担っています。
その中には年齢層やサービス分野ごとに分かれた専門部門があり、子ども・青少年に特化したのが ALSCと YALSA です。
ALSC(Association for Library Service to Children)とは
設立:1941年
対象年齢:0〜14歳程度(幼児から小学校高学年まで)
役割:
- 公共図書館や学校図書館での子どもサービスを支援
- 児童図書館員の専門研修やガイドライン提供
- 優れた児童書を顕彰する賞を主催
主な賞:
- ニューベリー賞(児童文学)
- コールデコット賞(絵本イラスト)
- ガイゼル賞(初期読者向け)
- シベリア賞(ノンフィクション)
「子どもと本をつなぐ専門組織」 として、アメリカの児童文学文化を支えています。
YALSA(Young Adult Library Services Association)とは
設立:1957年(当初は YASD: Young Adult Services Division)
対象年齢:12〜18歳(ティーン・ヤングアダルト世代)
役割:
- ティーン世代向けの図書館サービス・読書活動を推進
- YA文学の普及と評価
- 図書館員・教育者の専門的支援
主な賞:
- プリンツ賞(ヤングアダルト文学の最高賞)
- William C. Morris Award(新人YA作家のデビュー作)
- YAノンフィクション優秀賞
- Alex Awards(大人向け作品の中でティーンに人気のものを選出)
「ティーン世代に本を届ける専門組織」 として、YA文学の発展をリードしています。
ALSCとYALSAの違いと補完関係
項目 | ALSC | YALSA |
---|---|---|
設立 | 1941年 | 1957年 |
対象年齢 | 0〜14歳(児童) | 12〜18歳(ティーン・YA) |
代表的な賞 | ニューベリー賞・コールデコット賞・ガイゼル賞 | プリンツ賞・モリス賞・YAノンフィクション賞 |
重点分野 | 読み聞かせ・初期読書・児童文学 | ティーン読書・YA文学・多様性テーマ |
役割 | 子どもに「読む楽しみ」を与える | ティーンに「考える力」を与える |
両者を合わせると 0歳から18歳までの読書文化をトータルで支援 していることになります。
統合の動き(2025年〜)
最近のニュースによると、ALSCとYALSAは再び一つの部門に統合される計画が進んでいます(Publishers Weekly, 2025年6月報道)。
背景:予算難・人員減少・運営効率化
目的:組織のリソースを統合して、より持続可能な児童・青少年サービスを実現するため
課題:児童(0〜14歳)とティーン(12〜18歳)ではニーズが異なるため、統合後に両方の強みをどう維持するか
まとめ
ALSC は「子どもと本をつなぐ」部門(児童文学・絵本・初期読者向け)
YALSA は「ティーンと本をつなぐ」部門(ヤングアダルト文学)
両者があることで、子どもからティーンまでを包括的にカバーする仕組みがALA内に整っています。
今後の統合によって、より効率的で持続可能な児童・青少年サービスを提供する一方、両部門の特色をどう守るかが注目されます。