themselves と theirself:間違いから見える英語の歴史

「themselves」を「theirself」と書いてしまう

英語を教えていると、生徒がよく themselves → theirself と間違える場面に出会います。

最初はあまり気にならなかったんですが、

間違える子が多いのでなぜかなと探っていくと理由がありました。

所有格の影響

再帰代名詞にはパターンがあります。

  • 1人称・2人称は 所有格 + self
    • myself
    • yourself
  • 3人称は 目的格 + self
    • himself
    • herself
    • themselves

つまり、myself / yourself の流れで「their + self」と考えてしまうのは自然なことなのです。

歴史的な背

実はこの違い、古英語の名残です。

古英語では「self」は形容詞のように使われていて、代名詞の後ろにそのまま付けられていました。

  • mē self(= me myself)
  • ūs selfe(= us ourselves)
  • hē self(= he himself)

つまり、もともとは 目的格 + self が普通でした。

ところが中英語以降、1・2人称では 所有格 + self の形が広まり、
現在の myself / yourself が定着しました。
一方で、3人称は「目的格 + self」の形がそのまま残ったのです。

正しい形一覧

現在の標準的な再帰代名詞は次の通りです。

*1人称(所有格+self)

私自身 I → myself
(複数)私たち自身 we → ourselves

*2人称(所有格+self)

あなた自身 you → yourself
(複数)あなたたち自身 you → yourselves

*3人称(目的格+self)

彼自身 he → himself
彼女自身 she → herself
それ自身 it → itself
(複数)彼ら自身 they → themselves

間違いも学びに変える

生徒が「theirsef」と書いてしまうのは、所有格パターンの一般化による自然な誤りです。

言語の歴史を知ると、間違いさえも面白い学びに変わりますね。

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