多読をしている子は「文法が弱い」って本当?

多読をしている子が「文法が弱い」と言われるのはなぜ?

英語多読を続けていると、リーディングが得意になり、語彙力も伸び、英語を自然に理解する力がついていきます。

しかし、「文法が弱い」と指摘されることがあるのも事実です。
これは、文法を学ぶ過程が、多読中心の学習と学校の文法学習で大きく異なるからです。

今回は、多読をしている子がなぜ文法が弱いと見られがちなのか、その理由を解説します。

明示的な文法学習が不足するため

多読では、「文脈の中で意味を推測しながら英語に慣れる」ことを重視します。

例えば、「現在完了形」の文に何度も触れるうちに、

「この表現はこういう場面で使われるんだな」と自然に理解できるようになります。

しかし、文法のルールとして

「have + 過去分詞の形は、過去と現在をつなげる意味がある」などと説明できるとは限りません。

結果として、「なぜこの文法を使うのか?」を理論的に説明するのが苦手になり

周囲から「文法が弱い」と思われることがあります。

間違えながら学ぶプロセスを経るため

多読では、正確な文法を意識するよりも「意味が通じること」が優先されます。

文法ミスを恐れずに英語を使うことを重視するため、

最初のうちは文法的に不正確な表現をしてしまうことがあります。

これはむしろ、言語習得の自然な過程です。

ネイティブの子どもたちも、幼い頃は “He go to school.” のような間違いをしますが、

成長とともに正しい形に修正されていきます。

しかし、テストや学校の文法重視の評価基準では、

「間違えながら学ぶ」プロセスは評価されにくいため、

「文法が弱い」と見なされがちです。

ライティングやスピーキングの文法は別の力

多読をすると、「読む力」 は飛躍的に伸びます

語彙力が増え、文章の構造を理解する力も高まるため、長文読解やリスニングに強くなります。

しかし、「読む力」と「書く・話す力」は別物 です。

ライティングやスピーキングでは、自分で文を組み立てる必要があり、

正確な文法を使う力が求められます。 

多読だけでは、文法の細かいミスに気づきにくく、アウトプット時に間違いが目立ちやすくなります

「文法の型」より「意味」を優先する傾向

多読を続けていると、言葉を「文法のルール」ではなく、

「意味のまとまり」として捉える力が育ちます。

これは英語をスムーズに理解する上では大きな強みですが、

文法を理論的に説明する機会が少ないと、テストの文法問題では不利になることがあります。

例えば、

If I were you, I would… の意味は感覚的に理解できる

→でも、「仮定法過去とは何か?」を説明するのは苦手

このように、「知識としての文法」と「感覚的に理解している英語の型」に

ギャップが生じることがあります。

日本語と同じですね。(話せても日本語の文法説明ができる方は少ないです)

「多読が得意な子」は「文法中心の学習が苦手」になりやすい

多読をしている子は、文法の細かいルールを意識しなくても、

英語を理解し、使えるようになることが多いです。

そのため、「文法を暗記する学習」に興味を持ちにくく

テストのために文法問題を解くモチベーションが低くなりがちです。(意味がわかっちゃうので)

結果として、文法問題で高得点を取るのが難しくなることがあります。

しかし、多読をしていることで英語そのものに強くなっているため、

リスニングや長文読解では圧倒的に有利になり、

試験全体の得点をカバーできてしまうことがよくあります。

だからますます文法学習から遠のいてしまうのですね😅

では、どうすればいい?

多読をしている子が、文法の弱さを補いながらバランスよく英語力を伸ばすには、以下のポイントが有効です。

1. アウトプットを増やす

  • 短い日記を書く、スピーキング練習を取り入れる
  • 書く&話すことで、文法のミスに気づく機会を増やす

2. 文法の「型」に気づく機会を増やす

  • 読んだ本の中で「気になった表現」をピックアップし、簡単に解説

3. 文法ドリルを「少しだけ」取り入れる

  • 文法を無視するのではなく、必要な部分を重点的に補強

4. 「間違いながら学ぶ」ことをポジティブに捉える

  • 文法ミスを減らすことを意識しつつ、「間違えてもOK」という環境を作る
  • 「文法が弱い」のではなく、「まだ整理しきれていないだけ と考える

注意点⚠️

ここで大事な点を確認してください。

そもそも「多読」になっていますか?

「多読をしたつもり」になっていませんか?

英語の文法を「自然に身につける」ためには、十分な量のインプットが必要です。

つまり、「多読」になっている子は、文法を意識せずに吸収できますが、

「少読」ではその効果は期待できません。

ですからまず、「多読になっているか?」を確認する必要があります。

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