この本は、日本の英語教育で「高校生は中学英語をどれくらい身につけているのか」というテーマに真正面から向き合っています。
「中学英語ができるレベル」というのは、実はこの定義はかなり深いです。
アルクでは、27大学、3年間分の入試問題4000題を実際に解いてみて、中学英語だけでどれくらい太刀打ちできるのかを調べています。(ただし未知語がないという条件での検証です)
すると、なんと79パーセントの問題が解けたそうです。

中学英語を本当に使いこなせるレベルまで定着させれば、ここまでできるということに驚きますよね。
著者たちは、多くの高校生が3年間学んだ中学英語を十分に定着させられていない現実を指摘し、「教えたつもり」と「身についた状態」はまったく別物だと語ります。
なぜ中学英語が身につかないのか、そもそも定着とはどういう状態なのか、学校ではどう評価されてきたのか。
そういった背景がとても丁寧に解説されています。
また、中学英語の定着度を示すようなデータが本当に存在するのかを探し、自分たちで調査を行った過程についても触れられています。
中学英語が使えるレベルまで身についていないと、高校以降の学習が一気に難しくなる。
この問題意識が全編を通してしっかり伝わってきます。
英語学習の土台を見直すきっかけになる一冊です。
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