場所のことばが「論点」を指すとき
英語の where と日本語の「そこ」の不思議な共通点
言葉はもともとの意味から広がって、意外な使い方をすることがあります。
その一つが、英語の where と日本語の「そこ」。
本来は「場所」を表す言葉ですが、会話では「論点」や「焦点」を指すことがあるのです。
英語の where が場所じゃないとき
“The Naughtiest Girl again” という小説にこんな一文が出てきました。
That was just where Elizabeth was quite wrong!
(まさにそこがエリザベスの間違っていた点だったのです!)
この where は「どこ」という意味ではなく、「その点」「その部分」という意味です。
つまり「エリザベスが間違っていたのは、まさにその箇所だった」ということです。
日常会話でも同じような表現がよく使われます。
That’s where you’re wrong.
(そこが間違ってるよ)
Here’s where the problem starts.
(ここから問題が始まるんだ)
Where you went wrong is ignoring the instructions.
(君の間違った点は、指示を無視したことだよ)

日本語の「そこ?」の使い方
一方、日本語の「そこ」も場所だけでなく「焦点」を指すことがあります。
でも英語の where とは少し違って、「ツッコミ」に使われることが多いのです。
例えば、
A「大学受験のとき、予備校通いが本当に大変で…」
B「へぇ〜。夜ご飯はどうしたんですか?」
A「え?そこ?」
(=「そこに注目する?」という驚き)
もし日本語の「そこ?」を英語で表すとしたら、このようになります↓
例 1
A: My dog was really sick last week, I was so worried.
B: Oh no… Did you still take him for his regular haircut?
A: Seriously? That’s your question?
(=「え?そこ?」)
例 2
A: When I was in college, I worked really hard to pay tuition.
B: Wow. So… what kind of shoes did you wear to class?
A: Huh? That’s what you’re asking about?
(=「そこ?」)
例 3
A: I spent three years writing my thesis, it was exhausting.
B: Three years? Did you at least have a nice chair to sit on?
A: Really? That’s the part you’re curious about?
(=「そこ?」)
共通点と違い
英語の where
→ 「その点が違う」「その部分が問題」というように、論理的に“正しい/間違い”を指摘するときに使う。
日本語の「そこ?」
→ 相手の関心が予想外にずれているときに、「そこを聞く?」と驚きを示す。
両方とも「場所ことば」を「論点・焦点」に広げている点では共通していますが、
ニュアンスは少し異なります。
英語は論理的、日本語はツッコミ的。
言葉の面白さ
「場所」を表す言葉が「論点」や「焦点」を指すのは、英語も日本語も同じ。
でも使い方の違いを比べてみると、文化や会話スタイルが浮かび上がってきます。
- 日本語の「え?そこ?」 → 会話の軽妙さ、突っ込み文化。
- 英語の That’s where you’re wrong. → 論理の明確さ、指摘の文化。
こうした違いを見つけると、英語の勉強が単なる暗記ではなく
「文化を味わう時間」に変わりますね。