読書科学とスカーバラのリーディングロープをわかりやすく説明
今日は
読書科学(Science of Reading)
と
スカーバラのリーディングロープ(Scarborough’s Reading Rope)について、わかりやすく説明します。
この2つは、どうやって読む力をつけるかを科学的に教えてくれるものです。
読書科学とは?
読書科学は、どうやって人が文字を読んで理解するようになるかを研究する学問です。
これは、心理学、脳科学、言語学、教育学など、いろんな分野の研究を合わせたものです。
この研究をもとに、より効果的な読書の教え方を見つけることができます。
スカーバラのリーディングロープとは?
スカーバラのリーディングロープは、読書がどのようにして上手になるかを示す図です。
この図では、読書が2つの大きな部分から成り立っていることがわかります。
- 言語理解(Language Comprehension)
- 単語認識(Word Recognition)
それぞれについて説明します
言語理解(Language Comprehension)
言語理解は、文章を読んでその内容をしっかり理解する力です。
- 背景知識(Background Knowledge): すでに知っている知識や情報。(例:歴史の本を読むときに、歴史の知識があると内容がわかりやすい)
- 語彙(Vocabulary): 知っている単語の数。
- 言語構造(Language Structure): 文法や文章の組み立ての理解。文の構造がわかると、意味を捉えやすくなります。
- 言語的推論(Verbal Reasoning): 文の中での推測や比喩の理解。(例:「彼の顔が青ざめた」という表現が怖がっていることを意味することを理解する力)
- リテラシー知識(Literacy Knowledge): 文字や文の形式についての知識。(例:本のタイトルや目次を見て、内容を予測する力)
単語認識(Word Recognition)
単語認識は、文章の中の単語を正確に読み取る力です。
- 音韻認識(Phonological Awareness): 言葉の中の音を聞き分ける力。(例:音を区切って発音する)
- 解読(Decoding): 文字を見てその音を知る力。(例:cat を見て「キャット」と読むことができる力)
- 視覚的認識(Sight Recognition): よく見たことがある単語をすぐに認識する力。(例:”the”や”and”などの単語をパッと見てわかる)
熟練した読書(Skilled Reading)
図をもう一度ご覧ください。
右側には、言語理解と単語認識の各要素が絡み合って「Skilled Reading : 熟練した読書」となっています。
熟練した読書とは、単語の認識と文章の理解が流暢に行われる状態です。
言語理解の要素はますます戦略的に(Increasingly Strategic)なり、
単語認識の要素はますます自動的に(Increasingly Automatic)なります。
この二つの要素が統合され、読書はスムーズかつ効率的に行われるようになります。
アメリカやカナダの教育問題と読書科学の必要性
アメリカやカナダでは、多くの子どもたちが効果的な読書指導を受けられず、読解力が低いまま卒業してしまう問題がありました。
特に、社会的・経済的に恵まれない家庭の子どもたちや、英語を第二言語として学ぶ子どもたちにとって、この問題は深刻でした。
このような背景から、科学的なアプローチに基づく効果的な読書指導法が求められるようになりました。
読書科学とスカーバラのリーディングロープは、このニーズに応えるために開発されました。
両者は、読書のプロセスを深く理解し、効果的な指導法を提供するための強力なツールとして機能します。
これにより、すべての子どもたちが自信を持って読み、理解できるようにサポートすることが可能となります。
このように、「読書科学」と「スカーバラのリーディングロープ」は、読書教育を科学的に支える重要な概念であり、互いに密接に関連しています。
読書科学の知見を活用することで、スカーバラのリーディングロープに示された各要素を効果的に指導し、子どもたちの読書能力を向上させることができます。
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