「因果関係」と「相関関係」を混同していませんか?
〜広告や体験談に惑わされないために〜
その「効果」、本当に教材&塾のおかげ?
「この教材で英検準2級に合格!」
「うちの子は〇〇メソッドでペラペラに!」
「このアプリで偏差値15アップ!」
こんな言葉に心が動いたことはありませんか?
でもちょっと待ってください。
それって本当に、その教材やメソッドが“原因”なのでしょうか?
相関関係と因果関係の違いを、まず知ろう
相関関係とは?
2つの出来事(AとB)が同時に起きていること。
たとえば、「アイスの売上が増えると、水の事故も増える」
──これは夏という第三の要因があるだけで、アイスが事故の原因ではありません。
因果関係とは?
AがBの直接的な原因になっている状態。
「タバコを吸うと、肺がんのリスクが上がる」などはその例です。
この違いがわかっていないと、英語学習でも簡単に誤解をしてしまいます。
英語教育でよくある「誤解」の例
❌ 例1:「この教材で偏差値が15アップ!」
→ 実際は、もともと学習習慣があった、家のサポートが手厚かった、など他の要因もあるかもしれません。
❌ 例2:「この塾に通って英検合格率90%!」
→ 成績が良い子がもともと集まっているだけかもしれません。
❌ 例3:「留学すれば英語が話せるようになる!」
→ 話さずに日本人と過ごしている人もたくさんいます。
留学そのものより「現地でどう行動するか」が重要です。
「それって本当に“原因”?」と疑ってみる
広告やSNSで見かける体験談や成功例を見るとき、以下のように考えてみましょう。
自分に問いかける3つの質問
- 本当にその方法が原因?
→ 他の要因で説明できないか? - 逆の可能性はない?
→ 英語が得意だったから、その教材を選んだのでは? - 他に同じような人が多く成功している?
→ たった2-3人の成功例では判断できない。
英語力よりも先に、「考える力」を
英語は大切です。
でも、「何をどう学ぶか」「どんな情報を信じるか」を見抜く力がなければ、効果のない教材にお金をかけたり、回り道ばかりしてしまうことになりかねません。
今の時代、英語力と同じくらい「情報を見抜く力=リテラシー」が必要です。
信じる前に、立ち止まる力
広告は魅力的に作られています。
成功談は夢があります。
でも、「〇〇を買ったら英語が話せるようになった」という話には、
相関しかなく、因果がないことが多いのです。
数字や体験談に飛びつく前に、こう考えてみてください。
「それって、本当に“その方法”のおかげ?」
→ 少し疑えるあなたは、もう“騙されない学習者”です。

おまけ
実は、「因果関係の理解」=論理的な思考力は、実は英語の表現力そのものにも深く関係しています。
とくに日本人学習者にとって、”because” や “so” など因果を表す接続詞の使い方は苦手なポイントです。
因果関係の理解が英語力に与える影響
「因果」を考える習慣がないと…
- 内容が曖昧な英作文になりがち
- ✖️ I like summer. It’s fun.(なぜ楽しいのかがない)
- ⭕️ I like summer because I can go swimming.
- “because” を使っても意味の流れがズレている
- ✖️ I like apples because I eat them every day.(本末転倒)
- ⭕️ I eat apples every day because I like them.
- 話に説得力がない/論理が弱い
- ライティング試験でも「理由が弱い」と減点されがち
原因と結果を理解できている学習者は…
- “because”、”so”、”that’s why” などを使い分けられる
- 意見のサポートができる
- I think school uniforms are necessary, because they prevent bullying.
- 論理の流れがあるパラグラフが書ける
日本語の影響も
日本語は「因果を省略しても通じる」言語なので、学習者が「なぜ?」を意識しないまま英語を書く・話す傾向があります。
騙されないために因果関係を理解するのが一番大事ですが、英語学習においてもしっかり理解してレベルアップをしたいですね!