最近、帰国子女の生徒さんがまた一人入会しました。
これがきっかけで、私自身も帰国子女だった頃の苦労を思い出し、
同じような境遇にいる方々に共感を伝えたいと思い、この記事を書きました。
帰国子女への誤解:「英語ができていいね!」
「帰国子女」と聞くと、多くの方が
「英語ができて羨ましい」
「発音がきれいでいいね」
とポジティブに捉えがちです。
でも、現実には「英語を身につけた」帰国子女というレッテルが、
時に負担にさえなるのです。
例えば、私もアメリカに住んでいた時期がありますが、
その時に「英語が好き!」なんて思ったことは一度もありません。
アメリカ生活はまさにサバイバル。
現地の学校に通うことは、優雅に英語を話す日常とはほど遠いものでした。
友達(そもそも「友達」というほど話せない😅)や先生と過ごす中で、自分の日本人らしさや日本語のアイデンティティが薄れていく不安と常に向き合っていたように思います。
帰国してからは「帰国子女なんだから英語は当然できるでしょ?」
と周囲からの期待が大きくのしかかります。
できなければ「帰国子女なのに?」
英検に受かったり、発音が良いと「帰国子女だから当たり前だよね」と言われる…。
一つひとつがプレッシャーとなり、英語に対する純粋な興味を持ちにくくなるのです。
何も言ってなくても「いい気になってる」とか陰口を叩かれたりもします。
英語力は常に努力が必要
帰国子女だからといって、自然に英語が残るわけではありません。
現地を離れて数年もすれば、せっかく身につけた英語はどんどん薄れてしまいます。
私の中学時代と比べると、娘の方が英語力は圧倒的に上でしたし、
私の教室の生徒の中にも当時の私に比べると遥かに高い英語力を持つ子がたくさんいます。
英語力を維持するためには、帰国後も必死で学び続ける努力が欠かせません。
おまけに、現地で英語を学んだと言ったって、
小3とか小4の時にわかる英語力なんてありませんから、
せいぜい赤ちゃんのような英語がわかるだけです😅
現地の子たちと対等な立場で話すなんて、相当長い間住まないと無理でしょう。
実際、オーストラリアで生まれ育ったお子さん
(日本人とオーストラリア人の父母を持つ)が、
現地のクラスメイトに
「お前の英語は意味わかんない」
といじめられていたそうですから、
現地の子たちのレベルに語学力を上げることはほぼ不可能です。
帰国子女にとって唯一自然に残るのは「発音の良さ」くらいで、他の英語力は練習と努力があってこそ維持できるものです。
帰国子女だからこその苦労
また、帰国子女には英語だけでなく、
日本語の習得の遅れや算数の進度の違いといった難題もあります。
私自身も帰国後、漢字や算数がまるで浦島太郎のように感じられ、
地獄の日々を過ごしました。
日本の学校レベルが高すぎてわからなすぎて泣きました(笑)
アメリカでは、スーパーマンのように算数が得意だったんですけどねえ。。。
同じ経験をされている生徒のお母様も、
「娘たちがサバイバル状態で過ごしてきたこと、帰国後に漢字と算数で苦労していること」
をお話しされ、まさに多くの帰国子女が抱える課題だと感じました。
最後に
帰国子女にとって、英語力は一つの強みかもしれませんが、
それが武器になるとは限りません。
就活の際にも、英語力が特別に評価されるわけではなく、
むしろ
「帰国子女だからできて当たり前」
と見なされてしまうことも多いのです。
それでも、「自分には英語しか強みがない」と微妙な意思で頑張っている子もいるでしょう。
語学というのは、学習をやめれば、
どんな子でも英語力は徐々になくなっていきます。
帰国子女も同じです。
帰国子女に対して「羨ましい」「いいね」と言う前に、
どうかその努力やプレッシャーにも心を寄せていただければと思います。