Mercy and the Hippo
題名: Mercy and the Hippo
著者: Lauren St John
イラスト:Nila Aye
出版社: Orion Children’s Books
YL: 1.8-2.0
語数: 900
概要
母親が亡くなった翌日、池に一頭のカバが現れました。
マーシーと弟のゼインはそのカバを「クララ」と名づけ、毎晩、沈む夕日を池のそばで見つめながら、しばし悲しみを忘れる時間を過ごします。
ところが、アフリカの夏は厳しく、雨はまったく降らず、池の水はどんどん減っていきます。
マーシーとゼインは毎日3回井戸まで水を汲みに行き、
自分たち用のバケツ1つとクララのための2つのバケツを運ぶ日々。
バケツの針金の取っ手で手に水ぶくれができるほど、過酷な作業です。
マーシーは村人たちに「カバの池の水を取らないでほしい」と懇願しますが、
誰も耳を貸してくれず、彼女は「頭がおかしい」とまで言われてしまいます──。
この本の魅力と注意
一見すると可愛らしい「Early Reader」の赤ラベル本ですが、内容は意外にも深く、読み応えがあります。
扱われているのは「喪失」「責任」「自然との共存」など、感情的なテーマ。
加えて、英語の表現レベルも決して初級ではありません。
多読初心者には難しい可能性もあるので、ある程度読書経験読者におすすめです。
英語らしい表現ポイント
英語らしさを感じる表現はたくさんありますが、特に:
「自然の動きや音を擬人化・比喩で表現」する文体
The sun burned down.
Lightning snaked across the sky.
Thunder crashed as if giants were playing football with boulders.
感情描写や心理的な動きを豊かに言葉にする構文
They were trembling with exhaustion.
Clara had not stirred for hours.
こうした表現に触れることで、学習者は単なる語彙力以上の「英語の世界観」を身につけることができます。
まとめ
『Mercy and the Hippo』は、一見「やさしい絵本」の顔をしていますが、
実際には感情的にも言語的にも中級者向けの物語です。
英語を「読む力」「感じる力」の両方を鍛えたい方にこそおすすめしたい一冊です。

Early Reader(赤ラベル)シリーズ
概要
- イギリスの出版社(例:Orchard Books など)から出ている、子ども向け読み物シリーズ
- 「Early Reader」は英語を学び始めたばかりの子ども向けに設計されています
- ラベルの色によって読書レベルが分かれています
- このMercy and the Hippoは日本人にとっては英語が難しめです